レッズ一筋、山田暢久20年のメモワール。

94年にレッズに入団し、それ以来レッズ一筋で20年。先日、J1通算500試合出場を達成。J1通算500試合は伊東輝悦、楢崎正剛に続き史上3人目の快挙。中でも山田暢久は1つのクラブでの500試合であり、これはJリーグ初の記録となっている。

また、少し前のデータだが、世界のプレイヤーの同一クラブ在籍期間ランキング(英語)で山田暢久は7位にランクインされている。上にいるのはギグスやトッティといった名プレイヤー。山田暢久の偉業がいかにすごいかが分かる。

そんな山田暢久の20年間を一冊にまとめたメモリアルブックが本書である。ファンならずとも、Jリーグを追いかけてきた人なら懐かしい思い出がよみがえってくることは間違いない。

馴染み深い監督や選手の思い出とともに20年を振り返る

福田正博、原博実、横山謙三、ブッフバルト、岡野雅行などレッズで山田暢久と関わりのあった監督・選手のインタビューを織り交ぜながら、1994年から2013年まで1年ずつ山田暢久のJリーグにおける奮闘を綴っている。

興味深いのは、誰もが山田暢久に同じ印象を抱いているということ。

 ― 能力はあるのに一生懸命やらない(ように見える)から、もったいない、と。

山田暢久がレッズに入団した94年に監督であった横山謙三はこう語っている。

あの当時から強さ、速さ、持久力が図抜けていて、サッカーに必要なすべての条件を備えた、極めて珍しい選手だった。
(中略)
自分をさらけ出してがむしゃらにやるタイプではないから、監督によっては「一生懸命やってないな」といった印象を持たれたかもしれない。(P.18から引用)

これは小野伸二の証言。

強い相手になればなるほど、とんでもない力を発揮するんです。それが本当の実力なんでしょうけど。一方で、相手によっては適当になる(笑)。(P.61から引用)

そしてこれは山岸範宏。

ヤマさんがすごいのは、他の選手が100パーセントでやっているプレーを80パーセントぐらいの力でやれてしまうところです。プレーの余裕は、そこからきていると思います。それをチンタラやっていると受け取る人もいるかもしれないけど、僕はそうは思わない。落ち着いているから視野を確保できるし、ゲームの流れを読むこともできるんです。(P.120から引用)

いわば、変人。「たるそうに」やっているからタリーさんと一部から呼ばれたりもしている。ネットでは山田暢久の伝説50選なんてものもまとめられており、なるほど確かに伝説の選手。

マツコ&有吉の怒り新党の新3大○○調査会で「山田暢久の気の毒なイエローカード」が特集されたこともあり、何か持っている選手でもある。これは僕も番組を見たが、確かに気の毒。ちなみに山田暢久は通算イエローカード数でもJリーグ記録を持っている。

来期はどうする、山田暢久

そんな山田暢久だが、今シーズン限りでの戦力外の通告を受けた。クラブ側はスタッフとして慰留しているが、現時点で今後については未定とのこと。

本書を読むと、岡野雅行が現役でいる限りは現役を続けるのではないかという気もする。岡野雅行もこう語っている。

時々、電話をかけてきて「まだやってるの?」と聞いてくるけど、お前だって、やってるじゃん(笑)。年上だから、先に引退してほしいのかもしれないけど、そうはいかないよ!ここまで来たら、体が壊れるまで、つぶれるまでやらないと。2人とも、もう一花咲かせて、いい終わり方ができればいいよね!(P.69から引用)

レッズでの挑戦はいったん終わるかもしれないけれど、まだプレーできるし個人的には現役を続けてほしいと思っている。レッズで、という想いはあったのかもしれないけど、20年も同一クラブでプレーできたことが奇跡。クラブは変わっても愛されることは間違いない。本書の帯にもなっているこの言葉は、レッズというクラブに重きを置いたものなのか、レッズでなくとも現役であり続けることに重きを置いたものなのか。今後を見守りたい。

1試合でも多く、1年でも長く、自分とレッズを応援してくれる人々のために現役であり続けたい。(P.13から引用)

がんばれ山田暢久!



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