条件付き賛成、という曖昧な態度ですみません。

明日7月9日のJリーグ合同実行委員会で来年度移行のJリーグの実施要項の方向性が話されると聞く。実施要項とは、すなわち巷で話題の2ステージ制など含め、優勝決定方式やリーグ運営方式などを含めたJリーグの要諦に関わる部分である。後出しじゃんけんにならないために、個人的見解を。

冒頭にも記載したように、個人的には「条件付き賛成」。

この手の決定で一番やってはいけないこと

それは、「議論が深まっていないから結論を先延ばしにする」ということである。何らかの変更を伴う意思決定には、当然賛成もあれば反対もある。全部意見を吸い上げて全員が納得する決定をすることはほぼ無理だと考えた方が良い。主導する側(Jリーグ)がある程度明確な意志とリーダーシップを持って意思決定するべき事案であろうと僕は考える。

で、その明確な意志とリーダーシップに欠かせないものが、情報の開示である。ここに、僕が「条件付き」と表現する所以がある。

ぶっちゃけて言えば、2ステージ制の反対派にも賛成派(あまり見かけないけど)にも理はある。

反対派から聞こえるもっとも大きな理由はこれである。

  • 年間でもっとも多く勝ち点を取ったチームが優勝チームであるべき

というものである。まあ、言ってることは分かるよねという感じだ。


賛成派が考えていることは興行面のメリットである。

  • 優勝決定戦などの一発勝負は観客動員、メディアへの露出、視聴率、ライトファン層へのアプローチなどが期待できる

特に昨今の観客動員数のジリ貧傾向やクラブライセンス制度導入を前にした赤字クラブの現状などを考えると、興行面のテコ入れは必要不可欠であるのは間違いない。

どちらにも理がある場合の意思決定に大事なこと

この手の「どちらにも理があり一概に比べることもできないようなケース」で何より重要なのは、納得性をどのように担保するかというものである。人が何かに納得する構造として、以下の2種類が存在する。

  • Distributive Justice(分配的公正):何らかの過程を経て結果としてもたらされたものが公正であること
  • Procedural Justice(手続的公正):結果としてもたらされるものの決定プロセスが公開されていること

もはやこの議論において、前者の分配的公正を目指すことは不可能である。「議論の結果、2ステージ制にすることにしました/やめました」と言われて、それぞれ賛成の立場の人でさえ納得する人は少ないだろう。なので、できる限り誠実に、後者の手続的公正を実現するしかない。

そのために、Jリーグは腹を割って考えていることを開示するべきである。この開示とは、「興行面で本当にメリットがあるのか根拠を見せろ」といった類の開示ではない。過去データは大事だが、この手の人たちは過去データを見せても何かにつけて反対する理由をアラ探しする人たちで、数値は大事だと認識した上で数値勝負に持ち込んではいけない。

そうではなく、2ステージ制移行を考えた理由を嘘偽りなく全てを話すこと。これが大事である。さらに言えば、お金に関する話をもっとすべきである。

僕は、観客動員や収支に関する最終責任はクラブにあると思っているが、ではJリーグとして指をくわえて待っていれば良いかといえばそうはいかないだろう。実際に、このままではクラブライセンス制度導入によってペナルティを受けるクラブが出てくるのは想像に難くない。長期間を見据えた健全なリーグの発展には欠かせない制度だが、短期的には痛みを伴う制度でもある。そこにJリーグとしてできる限りの措置をして興行面で下支えしたい、との想いが結集したものが今回の2ステージ制をはじめとする議論であると僕は思う。権力はときに人を狂わせるが、何の考えもなしにサポーターが反対している2ステージ制をここまでゴリ押しするほど幹部もバカではない。

説明があれば、僕は支持する

というわけで、「条件付き賛成」の所以は、意思決定のプロセスが開示されれば賛成、ということである。

正直なところ、優勝決定までのプロセスの納得性や公平性といった観点でいえば、1ステージ制の方が僕だって腹落ちする。だけど、そうはいかないところまで興行面での心配事が侵食してきている時期に差し掛かっているというのも事実であると思う。ここは、変化を恐れず、試してみてダメならまた戻す、という社会実験があっても良いのではないだろうか。

興行面のメリットを謳うからには、それほど興行面のメリットを重視しなければならない切羽詰まった事情があるからに他ならない。その切羽詰まった状態の説明と、それをJリーグとして担保しなければいけない理由が分かれば、説明としては僕はそれで構わない。

2ステージ制移行を反対する人たちは、悪く言えば現状維持派であり、現状維持したところで興行面のテコ入れは不可欠。であれば、僕としては反対するだけでなくテコ入れの代替案を示してほしいと思う。「私はスタジアムにしょっちゅう行っている」というのは(とてもJリーグに貢献している人であることは承知のうえで)、この議論においては何の意見にもなっていない。

100年構想のうちの、まだ20年

経済的事情はときによって異なるし、2004年までの2ステージ制のことを知らない世代も大人になってきていて、変化を恐れずに2ステージ制を試してみるということはイノベーティブな経営から考えたら悪くないと僕は思う。

また数年経って、「2014年に1回2ステージに戻したけどあれは失敗だったよね」なんて話があっても良いと思う。そういう目で、見守っていきたいと思っているのです。



tags 2ステージ制, 分配的公正, 手続的公正