さて、アニュアルな記事をアップデートしておく。

昨年の記事はこちらをどうぞ。
Jリーグにおけるシーズン途中の監督交代に効果はあるのか、過去20年間のデータ検証

ウンチクは昨年の記事に任せるとして、このアニュアルな記事でやりたいことは、シーズン途中に監督交代をして果たして勝ち点は積み上がるのだろうかという定量的な分析である。

2013シーズンにはジュビロ磐田、ロアッソ熊本、大宮アルディージャ、ガイナーレ鳥取、FC岐阜、栃木SCでシーズン途中の監督交代があった(漏れていたら教えてください)。これで1993年からの20年間で統計に使えるデータは40件。この40件を使って単純平均の比較と単回帰分析を実施した結果は以下のとおり。

シーズン途中の監督交代の効果はあるのか [単純平均の比較]

解任前の5試合と10試合、新監督就任後の5試合、10試合、15試合経過後の平均獲得勝ち点を計算したのが以下の表である。

2014point_before_after.jpg

単純平均としては、監督交代後に勝ち点は多く積み上がる結果となっている。安定して残留できるラインを勝ち点40とすれば、1試合あたり1.18ポイントは獲得しなくてはならない。1.18ポイントをひとつのラインとして考えれば、監督交代前は1試合あたり約1ポイントであるのに対し交代後は1.3〜1.4ポイントなので、昨年に引き続き監督交代の効果があると見てよいだろう。

シーズン途中の監督交代の効果はあるのか [単回帰分析]

さて、次に解任前10試合(past10)と新監督就任後の10試合(after10)の勝ち点で単回帰分析を実施してみる。

結論からいえば、昨年のデータと同様に有意水準5%で「監督交代に効果がある」という結果が得られた。

2014jdata10_10abline.jpg

回帰式によれば、新監督就任後10試合の勝ち点は以下のように求めることができる。

新監督就任後10試合の勝ち点 = 0.5731 × 解任前10試合の勝ち点 + 6.4161

この回帰式に当てはめれば、監督解任前10試合で勝ち点10だったクラブは、新監督就任後は12.1を積み上げることができることを示している。つまり1試合あたり1ポイントという残留ラインを下回るペースであったクラブが、交代後は1試合あたり1.21ポイント(34試合で41ポイントの計算)となり、残留ラインは超える計算になる。

勝ち点が増す理由は様々あるだろうが、監督交代をしているクラブはたいてい過去10試合の勝ち点が10程度とかなりの低迷に陥っており、戦術面もさることながら、特に信頼面、自信の面で問題が発生していると考えられる。監督交代という劇薬により気持ちの面でもリフレッシュでき、せめて10試合で13、つまり3勝4分け3敗(これでも低いが・・)くらいには到達できるということなのだろう。そのシーズンを乗り切るという意味においては効果があると言ってよさそうである。

2013データの特徴

大宮と鳥取と栃木の結果が顕著である。

大宮は解任前10試合で勝ち点10だったのに比べ、新監督就任後はなんと勝ち点たったの3である。ベルデニックを解任したのは未だに解せない・・。

鳥取は、小村監督のときも勝ち点は低く10試合で7ポイントだったが、漢・前田浩二監督になってから10試合で3ポイント。大宮と並ぶ低勝ち点である。ちなみに前田浩二監督はアビスパ福岡、ガイナーレ鳥取での監督を通じて26試合連続未勝利中、そして2014シーズンはなでしこリーグで無類の強さを誇っているINAC神戸の監督に就任である。

栃木の松本育夫監督の躍進は予想外だった(失礼!)。ゾーンディフェンスに定評がある松田浩監督が解任前10試合で勝ち点6と低迷したのに対し、松本育夫監督は10試合で23である。松田浩監督は戦術家でシンパも多いが、良いサッカーが必ずしも勝ち点につながるわけではない(パウリーニョの負傷という不運もあった)あたりがサッカーの奥深いところからもしれない。

勝ち点以外にも大事なことはある

クラブのアイデンティティやそこから落とし込まれたプレーモデルを育むことなしに目の前の試合だけを見て監督をコロコロ変えていては、根強いファン獲得のためにはマイナスだろう。名を棄てて実を取るのか。監督に対する考え方はクラブの姿勢が問われているともいえる。

というわけで、来年もこの時期にまた更新する予定。



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