テレビ東京系列の考えるサッカー番組「FOOT×BRAIN」が待望の書籍化。
本書はサブタイトル「日本のサッカーを強くする25の視点」にもある通り、多角的なアプローチからサッカーに迫ろうとする挑戦的なコンセプトが土台になっている。ときにサッカーとは関係のないその道のプロフェッショナルにフォーカスし、そこからサッカーに役立つ何かを吸収しようという貪欲さは尊敬できる姿勢だと評価できる。
テレビ東京系列で毎週土曜日の23:05に放送されているFOOT×BRAINの放送内容の中から特徴的な25回を選び、エッセンスを抽出した上で解説を加えて構成されている。
25の視点は、大きく以下の4つの視点に分けられている。
- 戦う人 香川真司、内田篤人など主にサッカー選手本人の視点
- 支える人 レフェリー、スカウト、通訳、選手の妻など、プレイヤーではないが直接的にプレイヤーや試合そのものに関わる人たちの視点
- 育てる人 選手の親、プロ監督、大学サッカー部監督、クラブ社長など選手やサッカー界を育む立場からの視点
- 見守る人 プロ野球選手、ラグビー選手、統計学者などサッカーとは直接関係ない立場からの視点
個人的に興味深い内容は、第4章の見守る人に登場するアンドリュー・マコーミック氏(元ラグビー日本代表)や鳥越規央氏(東海大学理学部情報数理学科准教授)などからの言葉だ。異なる業界からの意見は参考になることが多い。
マコーミック氏はラグビーにおいても日本人の敏捷性(アジリティ)は一日の長があると評価している。体格では敵わない日本が強豪諸国と戦う際に押し出す長所はラグビーでも変わらない。
鳥越氏は統計の専門家として、サッカーのデータ化に挑戦している。野球のようにひとつひとつのプレーが途切れないため数値化が難しいスポーツであるが、膨大なデータから拾うことができる解析の結果は今後さらに詳細なものとなっていくことは間違いない。このエントリーでも書いたように、サッカー版セイバーメトリクス(野球においてデータを統計学的見地から客観的に分析し、選手の評価や戦略を考える分析手法)は夢物語ではないはずだ。
2013年3月16日の放送でついに100回目を迎える。テレビ東京、それも王道の仕掛けではなくマイナーな角度からの仕掛けで100回続いたことがそもそも素晴らしい。番組専用のスマホアプリもリリースされ、番組視聴中にアプリを起動すると音声をキャッチして視聴マイルが貯まる画期的な仕組みとなっている。マイルを貯めるとプレゼントがもらえるそうだ。ビデオ録画による視聴でもマイルが貯まるという大盤振る舞い。さすがテレビ東京。
どうしても海外の人気サッカー選手にスポットライトが当たりがちであるが、FOOT×BRAINのような「異端」の存在が日本サッカーの底上げには欠かせないと僕は信じている。
tags footbrain, foot×brain, フット×ブレインの思考法
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