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[書評] サッカーの憂鬱 裏方イレブン


サッカー界の裏方の仕事にスポットライトを当てたコミック。

たまにはコミックの紹介を。
キャプテン翼をはじめサッカー選手の活躍を描いたコミックは数多あるが、本コミックでは選手は脇役。主役となるのはレフェリー、クラブ広報、ホペイロ(用具係)、通訳、フィジカルトレーナーといったサッカー界を影から支えるプロフェッショナルたちである。

一話完結型のオムニバスで、プロフェッショナルの仕事を分かりやすく紹介しつつ、冒頭はそれぞれの苦悩を描く。決して簡単な仕事ではないぞ、と訴えかけてくる。大変な仕事でしかもスポットライトが当たるわけでもない。それでもこれらの仕事を続ける理由は何なのか。ラストは、その問いにひとつの解を示すかのようにやりがいを感じている場面で締めくくられる。こういったプロフェッショナルに支えられて毎週当たり前のように行われるサッカーの試合があるんだなと、改めて気づかせてくれる。

2014年4月現在で2巻まで刊行されており、第1巻は藤田俊哉、第2巻は中村憲剛がそれぞれ帯にコメントを寄せている。

裏方の紹介に最適なコミックというジャンル

こういった裏方の仕事を紹介した記事やコラムというものも多数存在している。

例えばホペイロという言葉もサッカー界では最近認知が広まってきており、サッカーキングにもこのような記事がある。
選手に最高の"武器"を用意する人 山川幸則(FC東京 ホペイロ)

フィジカルコーチはその重要性が認知されてきており、むしろ存在感が高まりつつある。コーチ・ユナイテッドにはこのような記事がある。
フィジカルの個人差を無視した不合理性が多くの才能を潰している

もちろんこれらの記事も素晴らしいのだが、裏方の仕事は「そもそもこの仕事とは何か」というところから紹介をはじめなくてはならない。文章は長すぎると(拙ブログのように)敬遠されるきらいもあるので、全てを紹介することが難しいケースもある。

そんなときにコミックというジャンルは最適だ。仕事の概要から苦悩、やりがいまでが一話の中にしっかりと詰め込まれていて、それでいて長さや分かりにくさといったものは一切感じない。

「こんな仕事もあるんだな」というサッカー界の裏方の仕事の理解にもってこいである。

先行オーガナイザーとしての役割

コミックは普段慣れ親しんでいないジャンルへの先行オーガナイザー(新しい知識を学ぶのに先立って提供する枠組み)として機能することを改めて示したともいえる。これは、古文や日本史、世界史などを学ぶ際に先にコミックで概要を理解してから取り組むと理解度が高まることに似ている。

サッカーの戦術も非常に難解な概念なので、コミックで理解できるようなものが出てくればきっと売れると思う。




tags サッカーの憂鬱, サッカーコミック, サッカー漫画, ホペイロ

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プロフィール

profile_yohei22 yohei22です。背番号22番が好きです。日本代表でいえば中澤佑二から吉田麻也の系譜。僕自身も学生時代はCBでした。 サッカーやフットサルをプレーする傍ら、ゆるく現地観戦も。W杯はフランスから連続現地観戦。アーセナルファン。
サッカー書籍の紹介やコラム、海外現地観戦情報をお届けします。

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